サウナは身体に様々なメリットがあると言われています。
本場フィンランドでは「サウナ、アルコールが役にたたないと、その病気はもう救えない」という“ことわざ”があります。
ここではサウナと「風邪」の関係についてご紹介します。
実際に発表された論文を引用し、サウナと風邪の関係についてお話します。
風邪を引く確率が サウナによく入ると「半分」になる
オーストリアの「ウィーン大学」の研究チームから、「サウナによく入ると風邪は引きにくくなる」ことが発表されました。
50人の対象者を2グループに分けて、半分の25人は週2回サウナに入る組みとして、残りの25人はサウナに入らない組として、6カ月間調査を行いました。
6ヵ月間の調査期間中に、前半3カ月は「風邪を引く確率はあまり変わらなかった」が、後半の3カ月は「大きな差」が見られました。
後半3カ月においては、サウナに入る組が風邪を引く確率は「半分」に下がっていました。
参考文献:Regular sauna bathing and the incidence of common colds. Annals of Medicine [01 Jan 1990, 22(4):225-227]
風邪を引いてもサウナで「熱風」を吸うことで早く治る
ドイツの研究チームから、「サウナに入り、“熱風を吸う”と風邪が早く治る傾向がある」ことが発表されました。
150人を対象に、半分をサウナ組(熱風を吸う)に、残りをサウナ組(熱風を吸わない)としました。
熱風を吸う組はサウナに入り、熱風を3分間吸い込むことを3日間連続で行います。
熱風を吸わない組みはサウナに入り、室温の空気を吸うことをしました。
風邪の症状を測定し、数値化して比較してみると、「サウナの中で熱風を吸い込んだ組は、そうでない組と比較して、その症状は少し緩和された」という結果が得られました。
患者の自己評価でも熱風を吸い込んだ人の方が、風邪が早く治ったと感じたそうです。
参考文献:Visiting a sauna: does inhaling hot dry air reduce common cold symptoms? A randomised controlled trial. MJA 2010; 193: 730–734
サウナに入ることで免疫力があがって風邪を引きにくくなる
ポーランドの研究チームから、「サウナに入ることで免疫システムを活性化する」ことが発表されました。
アスリート9名、一般人9名の計18名で調査を実施しました。
年齢は21歳前後で、年齢のバラツキなくしています。
サウナは96度で15分間入り、2分間20度の冷水シャワーを浴びるということを、体温が1.2度上がるまで繰り返し行いました。
採血をサウナ前と入浴完了後3分後に行いました
免疫の状態は白血球の数やリンパ球、血中単球、好塩基球など免疫システムに関連する防御細胞の数を見ることで測定します。
アスリートの組では免疫システムの代表格である白血球の数が14%上昇しました。
一般人の組でも白血球、リンパ球、血中単球などの血球の数量はサウナ後に上昇の傾向がありました。
参考文献:Effect of a Single Finnish Sauna Session on White Blood Cell Profile and Cortisol Levels in Athletes and Non-Athletes. Journal of Human Kinetics volume 39/2013, 127-135
風邪の時にはお風呂がNGと言われているのは“昔のお風呂事情 ”
幼少期、お風呂に入ると風邪が悪化すると言われたことはないでしょうか?
理由は昔の日本の風呂事情にあります。
昔はお風呂が家の外にあることが多く、五右衛門風呂形式でした。
水道が通っておらず、井戸から桶で水を汲んで、薪を投じて、火を焚いて、お風呂に入ることが出来るものでした。
こんな時代にお風呂に入って、せっかく身体を温めても、帰りの道でどんどん冷えていくことはあきらかですし、室内にも暖房設備も十分になく、隙間風が冷たいので、湯冷めしてしまうことは考えるに容易です。
風邪を引いている時に、体温が奪われて冷えていくことは体調悪化を招くことなので、その時代の人は、風邪を引いている時はお風呂に入ってはいけないと広まったそうです。
風邪を引いたらむしろお風呂に入った方が良い
現代では事情が変わり、お風呂場が遠く、室内が寒いことや隙間風のために、体温が奪われてしまうことが少なくなりました。
大切なのはお風呂の入り方にあります。
後ほどご紹介しますが、入浴NGに該当しないケースでは、入り方を間違わなければ、むしろお風呂に入った方が良いです。
その理由は、身体を温めることで、免疫力が増加、ウイルスに対抗出来るからです。
そもそも風邪を引くと熱が上がるのは、ウイルスから身体を守る防衛反応からです。
ウイルスは気温が低く、乾燥している時に活発化します。
インフルエンザが流行るのも冬のように、夏より冬の方が風邪を引きやすいです。
冬場ことお風呂に入って、体温を上げて、免疫力をアップさせるべきなのです。
風邪の時のお風呂の正しい入り方
風邪の時の正しいお風呂の入り方を「5つ」のステップでご紹介します。
①体温を測る
入浴前には体温を測りましょう。
38度を超えている場合は安静が一番です。
その場合は入浴を控えて、無理しないようにしましょう。
②脱衣所と浴室を温めて温度差を少なくする
脱衣所と浴室、脱衣所と部屋の温度差を10度以上にならにように気を付けましょう。
温度差があるとせっかく温めた身体を冷やすことになり、風邪悪化に繋がります。
ドアを開けっ放しにして、浴室で集めのシャワーを少し出しておくと、解消出来ます。
③40度程度のお湯に短く浸かる
熱いお風呂は体力を消耗します。
身体に負担が少ない温度(40度くらい)を目安にしてください。
入浴時間は15分程度に留めて、あまり長風呂をしないようにしましょう。
一方、シャワーだけでは身体は温まらず、体を綺麗にすることしか出来ないので、ぬるめの湯でも良いので5分程度は浸かることをおすすめします。
洗髪や身体洗いは出来るだけ短く、パパっと済ませましょう。
④湯上りにバスローブを着て、パジャマに着替える
ここが一番重要なポイントです。
お風呂上りにパジャマを着て、お布団にすぐ入って、寝てしまう方が非常に多いです。
これは風邪を悪化させる行為なので要注意です。
お風呂上りは身体をしっかり拭いたつもりでも、しばらく汗をかいています。
すぐにパジャマを着る行為は、パジャマを汗で濡らす行為で、外気に触れることで体温を奪ってしまいます。
それでは裸?ということいなりますが、もっと身体を増やす行為なので、NGです。
一番良いのは「バスローブ」を着ることです。
バスローブはセレブのためにあるものではありません。
汗を吸いながら、必要な水分は中に留めて、乾燥から守るというきちんとした役割と機能があります。
お風呂から出て、身体を拭いた後は約10分程度、バスローブに身を包み、パジャマに着替えることをおすすめします。
⑤水分補給をしっかりする
忘れがちなのが、水分補給です。
発熱時は体内の水分が足りなくなる傾向にあります。
少し無理してでも、お風呂上りには水分補給することをおすすめします。
水分補給におすすめなのが「イオン水」です。
イオン水はカリウムやナトリウムなどの電解質を含んだもので、水分の吸収を速やかに行うことが出来ます。
風邪の時にお風呂に入らない方が良いケース
風邪の時にお風呂に入らないほうが良いケースを「3つ」ご紹介します。
①乳幼児や高齢者
乳幼児や高齢者は、免疫力が下がっている時に急激な体温差は大変危険です。
タオルで身体を拭く程度にして、安静にしましょう。
②38度以上の高熱or筋肉や関節に痛みがある
38度以上の高温の場合の入浴は危険な行為です。
微熱になるまでお風呂は避けましょう。
微熱の場合でも、筋肉や関節に痛みがある場合は、これから熱が上がってくるサインかもしれないので、入浴を避けた方が良いです。
③嘔吐、下痢の症状がある
病原菌などが理由で嘔吐や下痢をしている時は、身体が脱水状態であることが多いです。
お風呂に入って汗をかくことで、更に水分を失ってしまう危険があるので、症状が治まるまでは入浴を避けた方が良いです。
一方で、冷えやストレスからくる下痢については、身体が温まり状態がが良くなる場合があります。
心配な方は身体をタオルで拭く程度にしておきましょう。